ジム・シャームッシュ監督の映画『パターソン』は、毎日同じルートをバスで走る運転手の静かな日常を描いた作品です。
特別な事件は起こりません。
それでも観終わった後に、心の奥に何かが残る——そんな映画です。
私たち東九州デイリーフーヅの仕事も、見方によってはとても地味です。
荷物を積み、決まった時間に出発し、決まった場所へ届ける。
何度も同じルートを通り、似た景色を見ながら走る。
でもその中にこそ、“変わらないこと”の大切さが詰まっていると感じます。
『パターソン』の主人公は、詩を書きます。
日常の中で見つけたちょっとした言葉や風景を、静かに記録していく。
それは、私たちの仕事にも通じるところがあります。
温度管理、積み込み、配送。
ひとつひとつは当たり前のようでも、その積み重ねが、誰かの食卓の“安心”になります。
そしてもうひとつ、この映画が教えてくれるのは、孤独ではないことの美しさです。
仕事中の小さな会話や、家に帰ってからのやり取り。
物流もまた、一人で完結するものではありません。
倉庫の仲間、ドライバー、事務のサポート、取引先の方々。
それぞれの呼吸がそろって、初めて一日の仕事が「詩のように」流れていくのです。
毎日が特別ではないけれど、
それでも大切に守り続けていくリズム。
『パターソン』のように、私たちもそのリズムの中で、
誰かの暮らしをそっと支えていけたらと思っています。